トミ子マガジン 第31号 2004/11/2
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トミ子マガジン 第31号 2004/11/2
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▼人身取引問題に関する視察(8月30日―9月1日)の報告書
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昨日、「人身取引(ヒューマントラフィッキング)に関する超党派勉強会」が開催されました。私も神本美恵子議員とともに、タイ・カンボジアでの視察の報告をしました。
視察の様子はこのメルマガでも以前ご報告しましたが、昨日提出した報告書を、あらためてご紹介します。
なお、あさって木曜日(11月4日)の参議院内閣委員会でこの問題を取り上げる予定にしています。ほかに、障害者権利条約、障害者基本法、NPOの皆さんが障害のある方や高齢者の皆さんのために行っている「移送サービス」、戦後60周年に向けた取り組みについても質問をする予定です。
==========報告書==========
2004年11月1日
人身取引(ヒューマントラフィッキング)に関する超党派勉強会
タイ・カンボジア トラフィッキング スタディー・ツアー 参加報告
(8月30日―9月3日)
岡崎トミ子
神本美恵子
【参加者】
丸谷佳織(団長)、上川陽子、岡崎トミ子、神本美恵子、浦元義照(ユニセフ駐日事務所代表)、三枝麻子(ユニセフ駐日事務所プログラム・オフィサー)、中井裕真(日本ユニセフ協会広報室長)石田達識(外務省国際社会協力部人権人道課)
【目的】
国会内でのとりくみ、とくに法整備に生かすために人身取引の実態、各国政府・国際機関・NGOの取り組みの実情を実地に学び、情報収集することが目的【調査概要】
8月30日:[バンコク]
ユニセフ・タイ事務所/地域事務所によるブリーフィング
人身取引の状況、地域協定、情報の収集・整理の必要性、“需要側”における取り組みの必要性について説明を受けた。
タイ・カンボジア両政府間の覚書きの交換、中国・ベトナムとの協定などの国境を越えた協力についても強調された。
複雑で国境をまたぐ問題であるという人身取引問題の性質上、オーストラリア政府の支援による地域間協力、イタリア政府の拠出によってユニセフが実施している多国間プロジェクトなどの地域的な活動が不可欠となっていることも指摘された。
タニヤ・パッポン歓楽街視察
それぞれ100件以上の飲酒施設、“ゴーゴーバー”があった。
客は主に外国人の男性であり、同性や年少者を相手とする場合も少なくないとのことであった。
タニヤでは、多くの店が日本語の看板を掲げていた。実際に日本人と見られる男性を多数目撃した。
8月31日:[バンコク]
在バンコク日本大使館領事部によるブリーフィング
タイ国民へのビザの発行と発行拒否の状況、不法移住や人身取引を防ぐための努力などについて説明を受けた。
最近の商業的性的搾取、売春、人身取引関係の犯罪で日本人が逮捕された最近の事例等についても説明を受けた。
[アランヤプラテット]
World Visionの子ども保護センター視察・ブリーフィング
人身取引の被害に遭う恐れがあるカンボジアの子どもたちを中心に保護する施設である。児童労働をしている子どもたちやストリートチルドレンに授業を受けさせたり、シャワー、昼寝、昼食、おやつの提供、一時的なシェルターとして機能している。地域のソーシャルワーカーが子どもたちの面倒を見ている。
カンボジアのNGOなどと、子どもたちの安全な機関のためのネットワークを築いているとのことだった。
同席した警察と地域の子ども保護委員から、児童取引を行なっている犯罪者を特定して逮捕することの困難さが語られた。
国境で市場とゲート視察
国境の市場では、カンボジア側のポイペットから来た、子どもを含む多数のカンボジア人が働いている。劣悪な環境で働く子どもたちの様子を見た。3歳ほどの子どもも見られた。
毎日平均、6000人から1万人がカンボジア側から国境を越えて入ってきており、うち400人から800人が子どもだと見られている。
9月1日:国境保護グループと
ユニセフ・カンボジアからのブリーフィング
国境を出入りする人の流れを視察しながら、保護グループ(カンボジアの子どもと障害者の発展のための組織)とユニセフ・カンボジアの職員からブリーフィングを受けた。
保護グループはカンボジアから子どもをチェックし、保護者のいない子どもを保護しているとのこと。また、タイから送還されてきた子どもや女性に対するカウンセリングや、カンボジア側のポイペットでのデイケア・センターの運営も行っている。センターは人身取引や強制労働の危険にさらされる子どもたち150人にサービスを提供できる。
[ポイペット]
スイスのNGOのデイケア・リハビリ・センター訪問
子どもたちのためのシェルターとして機能する。日中は学校などへ戻る準備の授業を行っている。病気やけが、薬物中毒の子どもたちを病院につなぐサービスも行っている。
リハビリ施設では、人身取引やDV、性的搾取の被害を受けた子どもたちへのケアを行っていた。生活のためのスキル講習や、ドラマ・セラピーなども行われていた。
IOM(国際移住機関)の帰還・再統合事業の一部であり、子どもたちが再び、すぐに人身取引の被害にあわないよう、安全な帰還を支援する受け入れ施設も併設されていた。
社会省地域事務所のトランジット・センターでブリーフィング
タイから送還されてきた子どもたちを受け入れる施設。家族を探したり、再統合の経過を評価・フォローアップも行う。
視察した日にも2人の少年がIOMの支援にされ送還されてきた。
正式なルートに乗らずに送還された子供たちには、再び人身取引の被害に遭うより大きな危険があり、心配。タイ・カンボジアのリハビリ、フォローアップの質の格差があれば、子どもたちはタイに戻ってしまう。
9月2日:[バンコク]
ユニセフ・タイ事務所でNGO、外務省、国際機関担当者と意見交換
ILO、ECPAT、ESCAPの担当者と意見交換
メコン地域での人身取引の実態や、それぞれのプロジェクトの説明を受けた後、様々な草の根レベルの取り組みのネットワーク化と強力推進の必要性、送り出し国における、今までより広範な地域での予防措置の実施の必要性などについて議論を行った。
社会開発・人間の安全保障省訪問
社会開発・福祉局長からタイ国内の子ども・女性の現状と、政府の取り組みやカンボジアとの間で交わした覚書きに関する説明を受けた。
タイの女性が日本に行く理由の説明として、自ら働きに行く場合と、騙されて売春婦として働かされる場合があるとのことだった。
在日大使館に被害者が保護を求めた場合、政府として医療ケア、帰国後の受け入れ、カウンセリング、職業訓練、帰郷の支援をしている。
参加議員から、帰国後、タイ政府との間での覚書きの交換を含めた取り組み強化を進めたい旨発言し、歓迎された。
【タイ・カンボジア関係者からの要望・提案事項】
日本国内で、被害者を犯罪者ではなく、被害者として扱う法整備が必要。(タイでは被害者としての保護を強化している。)
しっかりとした厳罰化を始めとした法整備を行って欲しい。
タイ政府は、ラオス、カンボジア、ミャンマーなどと覚書きの締結などを進めている。日本も政府間協力を強化して欲しい。(覚書きの交換や情報交換など)
日本政府から、日本のNGOに資金援助をしたらどうか。(タイでは政府・NGO・ユニセフ・ユニフェムなどが協力して情報交換をしている。)
【学んだこと】
タイから、とても多くの国々に少女らが送り出されていることに驚かされた。そのうち、日本が最大の需要国である。
送り出し国側の背景としての貧困問題の根深さを実感した。貧困問題に取り組むための二国間・多国間協力、NGO支援の必要性を痛感した。
日本で考えていた以上にタイ政府はこの問題に真剣かつ具体的に取り組んでいる。(法整備、首相を議長とするハイレベル会議、カンボジアとの覚書き・・・。)とくに被害者保護施策、カンボジアとの協力が印象的であった。日本もタイ政府の姿勢に学ぶべきだ。
被害者保護を確実に行うためには多様な手当(精神面のケア、自立支援・・・)が必要であることが分かった。これらを有効に実現するためには日本と送り出し国の双方における国・自治体、NGOの連携が必要であることを実感した。また、日本と送り出し国の間での様々なレベルでの協力も不可欠である。
人身取引の問題が切実であり、関係各国の政府、NGO、国際機関が真剣な取り組みを行っていることを肌で知った。日本は名誉にかけて、誠意が伝わるよう、劇的に取り組みを強化することが必要である。
日本政府は、刑法の一部改正と行動計画で対応しようとしているが、早急に日本国内における人身取引の実態を把握し、被害者の救出・保護・社会復帰支援・犯罪者の立件など、包括的な法整備が必要である。
【今後の課題・取り組みへの提案】
○勉強会・国会議員としての活動
国内外のNGOや国際機関、関係各国政府との情報・意見交換、協力を進めること。(国会での活動に関する情報を国内外のNGO、国際機関、タイ政府担当者に発信する。)
被害実態、保護の状況等について、プライバシー等に配慮した形で被害者やNGOからヒアリングを行うこと。
被害者保護活動を行っている国内のNGOの施設等の視察を行うこと。
政府が9月に派遣した調査団からの詳細なヒアリングを早急に行うこと。
関係国際会議に出席する日本政府代表団から事前と事後のヒアリングを行うこと。
関係国際会議への国会議員の参加を検討すること。
国連人権高等弁務官報告書により深い注意を払うこと。
国会議員の間で認識と理解を共有するため、国会内でシンポジウムを開催すること。
国民一般の理解と関心を得るため、積極的な情報発信の方法を検討・実施すること。
○法整備に向けて
包括的な人身取引法案成立に向け、対案の策定を含め、具体的な提案を行うこと。
自立支援、精神面でのケアに関する対策強化を法案に盛り込む努力を行うこと。
NGOの知見、経験が反映できる立法プロセスとなるよう、努力すること。
○政府に対する働きかけ
日本国内での被害の実態やNGOの被害者保護活動について包括的な調査を行うよう働きかけること。
タイ政府を始めとした各国政府との協力を本格的なものとするよう促すこと。(共同調査、情報交換、課題整理など)
タイ政府がカンボジア政府との間で交わしているような覚書きをタイ政府などとのあいだで交わすよう促すこと。
国内外のNGOとの連携を強化するよう促すこと。(情報交換や支援の強化)
とくに自立支援、精神面でのケアに関する対策強化を促すこと。
今後行われる関係国際会議に日本政府は出席するよう促すこと。
貧困問題への対策の飛躍的な強化を促すこと。
以上
参議院議員 岡崎トミ子