2004年09月15日

トミ子マガジン 第26号  2004/9/15

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       トミ子マガジン 第26号  2004/9/15
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▼9.11から3年
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フィリピンで聞いた第一報
3年前のあの日、私は、参議院からの派遣でフィリピンにいました。すでに真夜中。現地大使館の方からの電話で第一報を聞きました。最初は何が起きたのか、背景など正確なことは分からなかったのですが、「これまでにないことが起こったらしい。これは戦争になる」という、ざわっとした直感に襲われたものでした。そして悲しいことにその直感は現実のものとなり、その後、米軍によるアフガン攻撃、イラク戦争、今にいたるイラクでの戦闘と、暴力が続いているのです。

グランドゼロに立って
3年目の9.11直前の先月終わり、私は国連の障害者権利条約特別委員会参加のため、ニューヨークにいました。ニューヨークに来たからにはワールドトレードセンターが建っていたグランドゼロをこの目で見たいと、現地に足を運びました。テレビでご覧になって分かるとおり、今もそこはフェンスで囲まれ、破壊の後を物語るがれきはそのままの形で残されています。ここが、一瞬にして2749名の犠牲者を出した、あの事件の現場です。2749名のひとりひとりに家族があり、そしてひとりひとりに歴史があったという事実が、あらためて胸に迫ってきました。がれきに囲まれるようにして大地がえぐられたように深い穴が空き、まだその下には、家族との再会を果たせないでいる遺体も眠っているそうです。ところが、ここにフリーダムタワーという、世界最高の超高層ビルを建設するということで、すでに7月には起工式が行われているのです。遺体の確認も終わらないまま、急ぐように新しいビルが建つということは、多くの家族の皆さんにとって納得のいかないことではないかと感じました。あの同時多発テロという事件をどのように考えたらいいのか、暴力の連鎖を断つためには何をしたらいいのか。そういう大事な問いを置き去りにして、どんどん対テロ戦争に突き進んだアメリカの姿と重なってしまうのです。

考える遺族たち
一方、今回、印象的だったのは、ある家族の方の言葉です。「犠牲者を英雄扱いする風潮がある。しかし私の息子は英雄なんかじゃない。犠牲者だ。対テロ戦争は、海の向こうに、私の息子と同じような犠牲者を次々と生み出している。このような犠牲をなくすために何ができるか。私たちは、それを考えたい。私たちのすべきことは、決して英雄の死を乗り越えて戦いに突き進むことではないはずだ。」あれから3年が経ち、まだ悲しみが癒えないなか、「私たちに何ができるか」を考え始めている日本人犠牲者の家族の姿を新聞などでも目にしました。息子さんを亡くされた白鳥晴弘さんも、そんなひとりです。「貧困を無くすことが必要だ」というメッセージを携え、すでに全国30箇所で講演をして歩かれたそうです。夢を実現するためにアメリカに渡り、成功して尊敬される地位を獲得した息子の命を奪われ、悲しみに暮れた中から、「じゃあ、どうしたらいいのか」を考え、行動に移されたのです。頭を下げるほか、言葉が見つかりません。

暴力の連鎖と「対テロ」社会の緊張
ブッシュ大統領の、「我々の作戦は成功した。世界はより安全になった!」という共和党大会での演説とは裏腹に、アメリカの対テロ戦争は、テロを無くすことに成功なんかしていません。そればかりかこの間、イラクやアフガニスタンばかりでなく、ロシア、インドネシア、イスラエルとテロが拡散しているのです。暴力が暴力を呼んでいるのです。今、アメリカ国内では、過剰警備が問題になっています。とくにニューヨークでは、町のいたるところに武器を携行した警察官が警備にあたっています。ある被害者が、「街に出ると、テロへの警戒が物々しくて恐い。あの日を思い出してしまうので、とても外に出られず、家に閉じこもりがちになっている」と語ってくれました。過剰警備は、一般の人々にも恐怖感を与え、ストレスを与えています。暴力の連鎖が、国内での人々の生活をも圧迫しているのだと言えます。

このままでは日本も
日本に住む私たちにとっても、この状況は他人事ではなくなってきています。日本も国民の納得がないまま政府はイラク戦争を支持し、さらに復興支援の名のもとにイラクに自衛隊を送ってしまい、いつテロの対象になるかわからないと言う緊張感を持たざるを得なくなってしまいました。「テロ対策のため」という言葉が、いつの間にか私たちの日常になじみのある言葉になってしまっています。このままでは、日本もアメリカのように住みにくい社会になってしまいます。

イラク政策検証が必要
一度立ち止まって、なぜイラク戦争に突入したのか。この戦争、そしてこの戦争への協力が本当に正しかったのかということについて、きちんと解明しなくてはなりません。アメリカでもイギリスでも、イラク戦争開戦にいたった意思決定について、あらためて調査が行なわれ、重大な疑問がいくつも明らかにされました。日本の議会でも、日本政府がどういう根拠で、どういう理念に基づいて戦争支援、自衛隊派遣を決定したのかを明らかにすることが野党、私たち民主党に求められています。総理の独断で憲法違反の重大な疑いがあるとされている自衛隊派遣がなされ、こともあろうに、多国籍軍の参加も決定されたことを含め、このままにしていては、これからもなし崩し的にこの場限りの対応に終始してしまうことになります。そうした作業の上に、憎しみと暴力の連鎖を断ち切るために何ができるか、皆で考え、具体的に政策として実現していかなくてはなりません。

暴力の連鎖を断ち、平和を建設するために
私は一昨年の4月に訪れたアフガニスタンで、暴力の連鎖を断つための取り組みについて、多くのヒントをもらってきました。アフガニスタンでは、復興に向かう人々の姿、とりわけ教育の問題、子供たちの問題に取り組む人々の姿に接しました。NGOの経験を生かしながら取り組む、シマ・サマル女性大臣とも会見し、女性の力を復興の道筋の中にきちんと据えてがんばっている姿勢に感銘を受けました。もっとも印象的だったのは、長い紛争の末に学校に戻った子供たちの表情の明るさです。子供たちの笑顔から、学ぶことの重要性を学びました。どのようにアフガニスタンの人々を支援することができるかを調査しに行ったのに、私たちが与えられることの多かった旅になりました。あらためて憎しみと暴力の連鎖の中からは、何も解決しない。暴力のない世界をつくるためには、「テロを武力で根絶やしにする」という発想ではなく、ともに学ぶ姿勢が必要です。日本は、武力行使ではなく、世界の人々と手を携えることで平和の建設に貢献する国でありたい。イタリアのNGO、エマージェンシーで働くイタリア人女性からは「日本は憲法9条を生かすことによって世界に貢献して欲しい」という力強い言葉をもらい、確信を持ちました。足もとの日本の人たちの暮らしの安全と安心と同時に世界に目を向け、飢餓や貧困、難民として苦しんでいる人々が自ら、自立を手に入れることができるように、その延長線上に平和を構築できることを信じて、活動を続けていきたいと思います。

 

参議院議員 岡崎トミ子